(2024年4月20日)
目先はリバウンドしやすいが、本格反転には時間を要しそう

4月初めの当コーナーで「楽観相場に暗雲!」としたがその杞憂が現実のものとなってきた。今週の日経平均は米国の利下げ観測の後退で週初から売りが先行。そしてASMLホールディング(オランダ)と台湾TSMCの決算を受けて半導体セクターへの懐疑的な見方が強まり、これまでの上昇相場をリードしてきた半導体株に利益確定売りが広がり一段安に。さらに中東リスクの拡大がダメ押しとなった。19日の日経平均は一時前日比1346円安となる36733円まで下げる場面もあったが、終値ベースでも1011円と今年最大の下げ幅で、週間では2455円もの大幅下落となった。

19日のNYダウは前日比211ドル高の37986.4ドルと続伸。一方、インフレの高止まりへの懸念は根強く、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は同319.4ポイント安の15282と大幅に6日続落。イスラエルによる報復攻撃は限定的にとどまりそうだとの見方が広がり、投資家の過度なリスク回避の動きはいったん落ち着いているようだ。ただ、夜間取引の日経先物は大証終値比変わらずの37100とまったく戻し切れていない。
NY株より東京市場の下げがきついが、気になるのは「ジャパン・トレード」の巻き戻しが起きる可能性があることだ。日本株の本格的な上昇が始まった昨年4月以降、株高の原動力となってきたのが円売りと日本株買いを組み合わせた海外投資家の「ジャパン・トレード」だ。特に年初からの大幅な株価上昇と円安進行で「ジャパン・トレード」の持ち高は大きく膨らんでいると推測され、これが逆回転してくるとちょっとやそっとでは解消できない。18日付けのデイリーで述べたように、年初からの上昇トレンドが下落に転じた可能性も高まっているが、少なくとも相場の本格的な反転にはしばらく時間を要しそうだ。

イスラエルとイランの衝突など中東情勢の緊迫化のほか、米利下げ観測の後退、半導体セクターの失速など、株式市場全体にリスク回避ムードが台頭している。また、来週は米メタ・プラットフォームズや米マイクロソフト、米アルファベットのほか、韓国SKハイニックスや日本のアドバンテストといった半導体およびハイテク企業が決算発表を控える。ただ、投資家がリスク回避を強めている中では、株価上昇につながる決算内容のハードルは高くなっているとみるところで、決算発表は期待から警戒要因となる可能性もあり、積極的には動きづらい
日経平均の25日線(19日現在39543円)との逆乖離は-6.67%と大きく拡大(通常は-5%で売られ過ぎとされる)しており、目先はリバウンドもしやすいが、戻る場面は売られやすい。19日安値は36733円と、チャートは日足一目均衡表「雲領域」(36582円~38767円)の動きに入ってきており、来週の日経平均の予想レンジは3650038500円とする

■来週の主な予定
22日(月)【海外】米ベライゾンが決算発表

23日(火)【国内】ニデック、オービックが決算発表

【海外】 4S&Pグローバル米国製造業PMI

3月新築住宅販売件数

米テスラ、アルファベット、マイクロソフトが決算発表

24日(水)【国内】3月企業向けサービス価格指数(8:50)

中外製薬、キヤノン、ファナックが決算発表

レジルが東証グロースにIPO

【海外】米3月耐久財受注、米原油在庫

米ボーイング、メタプラットフォームズ、IBMが決算発表

25日(木)【国内】日銀金融政策決定会合(26日まで)

3月全国百貨店売上高(14:30)

信越化学、ディスコ、キーエンスが決算発表

【海外】米13月期GDP速報値

米前週分新規失業保険申請件数

米キャタピラー、ダウ、アマゾン、インテルが決算発表

26日(金)【国内】植田日銀総裁会見

日銀「経済・物価情勢の展望」

4月東京都区部消費者物価指数(8:30)

デンソー、村田製作所、日立、アドバンテストが決算発表

【海外】米ミシガン大学消費者信頼感指数確報

米シェブロンが決算発表


(2024年4月13日)
一段と調整ムードを高めている

■注目されていた10日発表の米3CPI(消費者物価指数)は市場予想を上回り、根強いインフレが確認された。これにより6FOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げが開始される観測は大きく後退。年内の利下げ回数についても従来コンセンサスであった3回分から、12回分へとシフト。

こうした中、12日のNYダウは前日比475.8ドル安の37983.2ドルと5日続落、ダウ平均は週間で920ドル下げ1月下旬以来の安値で終えている。ナスダック総合指数も同267.1ポイント安の16175ポイントと反落FRB(米連邦準備理事会)による利下げ開始が市場の想定より遅れるとの懸念が強まっている他、イスラエルに対するイランの報復が迫っているとの観測が広がり、地政学リスクも売りにつながっている。米株の変動性指数(VIX)も12日、不安心理が高まった状態とされる20に迫る19ポイント台に乗せているが、NY株相場は高値圏にあるだけに利益確定売りも広がりやすい。
NY株市場の懸念が日本株にも影響が波及。13日早朝の夜間取引の日経先物も大証終値比700円安の38850円と大幅安。米金利の上昇を背景に12日の東京外国為替市場では一時15339銭台近辺と19906月以来およそ34年ぶりの円安水準に進んでいるが、日本政府・日銀による円買いの為替介入に対する警戒から「円安=株買い」の動きとはなっていない。

一方で、ここから米国の大手金融を皮切りに決算が本格化し、業績相場の色合いが強まる。その手始めとして、来週17日のオランダの露光装置世界最大手ASMLホールディング、18日の台湾TSMCの決算に関心が寄せられている。TSMCは月次ベースの速報で増収傾向が確認されており、ASMLも先端プロセスのEUV(極端紫外線)露光装置の受注増が期待されている。
国内企業の決算発表は4月下旬からで、それまではNY株や為替に振り回される動きが予想される。また、日銀の為替介入をめぐる動きも注視される。

利下げ時期の後ずれ懸念に続き、中東情勢の悪化による地政学リスクの強まり、大手金融機関の決算内容への失望、中国当局による通信分野への外国製半導体・電子部品への規制など悪材料が重なり、東京市場も調整色が強まる可能性が高まってきた。ひとまず、下振れ懸念に対するリスク対応型の投資戦略が必要となってきそうだが、展開次第では時価から2000円近く下にある75日線(12日現在・37565円)も意識されてくる。しかしその一方で、米インフレの長期化懸念は米景気の底堅さの証左とも言え、円安も主力企業の業績にはプラスに働く。4月下旬から本格化してくる決算発表の期待は依然、高く突っ込み場面では買いも入りやすい。チャートでは、上昇してきている75日線~下降に転じた25日線のレンジ相場が意識されてきそうだが、来週はまず、3850039500円が予想レンジとなる。

■来週の主な予定
15日(月)【国内】2月機械受注(8:50)

【海外】中国MLF(中期貸出制度)金利(10:20)

4NY連銀製造業景気指数(21:30)

米3月小売売上高(21:30)

米ゴールドマン・サックスが決算発表

16日(火)【国内】衆議院3補欠選挙告示(4/28投開票)

Will SmartがグロースにIPO

【海外】中国3月小売売上高(11:00)

中国3月鉱工業生産指数、中国13月期GDP(11:00)

3月住宅着工件数、米3月鉱工業生産・設備稼働率

IMF世界経済見通し

米ジョンソンエンドジョンソンが決算発表

17日(水)【国内】3月貿易収支(8:50)3月訪日外客数(16:15)

【海外】米ベージュブック (米地区連銀経済報告、183:00)

ASMLホールディングが決算発表

18日(木)【国内】2月第三次産業活動指数(13:30)

3月首都圏新規マンション発売(14:00)

【海外】米前週分新規失業保険申請件数、米3月中古住宅販売件数

20財務大臣・中央銀行総裁会議(ワシントン)

TSMCが決算発表

米ネットフリックスが決算発表

19日(金)【国内】3月全国消費者物価指数(8:30)

【海外】米アメリカンエキスプレス、プロクター&ギャンブルが決算発表


(2024年4月7日)
楽観相場に暗雲!
■名実ともに新年度入りとなった先週の日経平均は週初から機関投資家の益出し売りに押され波乱含みのスタートとなった。その後、持ち直す動きも見られたが週末に再び大きな下げに見舞われ、一時、前週末比1595円もの下げとなる38774円まで売られた。サポートラインとして期待された25日線(5日現在・39789円)、5日線(同39571円)を大きく割り込み、5日線が25日線をした抜けるミニ・デッドクロスも示現。これまでの楽観ムードに暗雲が立ちこめている。

世界経済のベンチマークとなっている米国市場では、底堅い経済指標などを背景に早期利下げ観測が後退。これに中東情勢の緊迫化が追い打ちをかけている。イスラエルが1日、シリア首都ダマスカスのイラン大使館周辺を空爆した。イランが近くイスラエルに報復する可能性があると伝わると、イスラエルのネタニヤフ首相も徹底的に戦う姿勢を示した。利下げ観測の後退や中東情勢の緊迫化でNYダウは4日までの4営業日で1200ドル強の下げを見せた。
こうした中、注目された5日発表の米3月雇用統計は、非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を上回って好調な雇用環境を示す一方、平均時給の伸びは前年同月比から鈍化。雇用者数は拡大したものの賃金インフレの加速は示さなかったことで「非常に良い結果」との受け止めが多く、5日のNYダウは前日比307ドル高の38904ドルと5営業日ぶりに反発ナスダック総合指数も同199.4ポイント高の16248.5ポイントと反発夜間取引の日経先物も大証終値比320円高の39300円と上昇

3月米雇用統計の発表を受けてNY株市場は反発し、ひとまず週初は買い戻しが先行する展開で始まりそうだ。また、3月期企業の決算発表の動向を占う上で指針となる安川電機6506が、5日大引け後に今2月期に2期ぶり最高益更新予想を発表したことも買い安心材料として働きそうだ。
ただ、これまでの積極的な株買いの流れは一旦変わったとみるところで、今週も調整ムードは続きそうだ。もちろん、年度初めの益出し売りも一巡が見込まれるほか、今月末からスタートする3月期企業の決算発表の期待もある。基本的な環境に変化はないとする声も多く、市場の楽観ムードが完全に消えたわけではないが、下げ幅が大きかったことから日柄調整が長引く可能性はありそうだ。
下は前回の312日安値38271円、上はフシ目の4万円が意識されるが、今週の日経平均の予想レンジは385004万円とする。

■今週の主な予定
8日(月)【国内】2月毎月勤労統計調査(8:30) 3月景気ウォッチャー調査

イタミアートがグロースにIPO

9日(火)【国内】3月消費動向調査(14:00)

【海外】イスラム世界ラマダン明け

10日(水)【国内】3月国内企業物価指数(8:50)

【海外】米3月消費者物価指数CPI、米原油在庫

319日・20日開催のFOMC議事録公表

3月財政収支(11日、3:00)

11日(木)【国内】3月マネーストック (8:50) 3月都心オフィス空室率

ファーストリテイリングが決算発表

ハンモックがグロースにIPO

【海外】米生産者物価指数PPI

中国3月生産者・消費者物価指数CPI(10:30)

ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)

12日(金)【国内】オプションSQ

2月鉱工業生産確報値(13:30)

【海外】中国3月貿易収支

3月輸出入物価

4月ミシガン大学消費者マインド指数

JPモルガン、シティグループが決算発表


(2024年3月31日)
2023年度の日経平均は44%上昇、上げ幅は過去最大!!
■先週の日経平均は3月期末の配当権利取りの動きに乱高下した。権利付き売買最終日となる27日は配当権利取りの動きに配当金再投資による先物買いも入り、一時40979円を付け心理的なフシ目の41000円に迫る場面もみられた。しかし、権利落ちとなった28日は一転。配当取り後の手じまい売りで一時40054円まで急落し4万円の大台割れも意識された。配当利回りの高い銘柄の下げが目立ったが、配当落ち分(約260円)を大きく上回る例年にない下げとなった。
 もっとも、予想以上に乱高下はしたがこれも想定内の動き。需給による一時的な動きとして29日は前日比201円高と反発し40369円の終わり。これで2023年度(234月〜243月)の日経平均は1232796銭(43.96%)の上昇。上昇率は新型コロナウイルスの感染拡大から回復した20年度(54.24%)以来の大きさで、上げ幅は20年度(10261円)を上回り、過去最大となった。東エレク8035などの半導体関連銘柄が日経平均をけん引した他、東証改革による低PBR(株価純資産倍率)の是正や企業収益の改善期待も追い風となった。TOPIX(東証株価指数)は年度ベースで765.12ポイント(38.19%)上昇、上昇率は20年度(39.26%)以来の大きさとなった。

今週から名実ともに新年度入りするが、ここから焦点となるのが4月下旬から5月中旬にかけて発表される来20253月期の業績予想。現状では、最高益更新を継続する見通しが大勢を占めている。こうした業績改善見通しから日本株の一段高が期待されている。
ただ今週前半は、年度始めのバランス型ファンドのリバランスや銀行など機関投資家の期初の益出し売りが見込まれ、期初の需給による売りが警戒される。その後は、現地5日の米雇用統計の発表を前に様子見ムードが強まりそう。特に、来期の企業業績を占うで為替動向がポイントとなるが、FRB(米連邦準備理事会)がインフレ指標として重視する29日発表の2月の米個人消費支出(PCE)物価指数は市場予想と一致。インフレ鈍化の流れが続いているとの見方から円買い・ドル売りが入ったが、FRBのパウエル議長が利下げを急がない考えを示したことでNY円相場は1ドル=1513545銭と横ばい。これに続き、米雇用統計に向け3月米ISM製造業景況指数(1日)や3ADP全米雇用報告(3日)などの経済指標を見極めることになる。注意すべき点は、市場では1ドル=152円を前に日本政府・日銀による円買い介入の可能性が意識されている。同水準を超える円安は逆に警戒感が強まりそうで、単純に「円安=株買い」とはなりにくい
こうしたことから今週も上値の重い値動きが想定されるが、今週の日経平均の予想レンジは25日線(29日現在39712円)を下値意識した39700円~41000円とする。

■今週の主な予定
1日(月)【国内】3月調査日銀短観(8:50)

労働時間の残業上限規制猶予期間終了(2024年問題)

金融商品取引法改正(四半期報告書廃止、決算短信に一本化)

【海外】中国3Caixin製造業PMI(10:45)

3ISM製造業景況指数

2日(火)【国内】3月マネタリーベース (8:50)

3月国内ユニクロ売上高速報

【海外】米2月製造業新規受注、耐久財受注確報

2JOLTS求人件数

3日(水)【海外】ユーロ圏2月失業率(18:00)

3ADP雇用統計、米3ISM非製造業景況指数

米原油在庫

4日(木)【国内】日銀支店長会議 、地域経済報告(さくらレポート)

【海外】米2月貿易収支、米前週分新規失業保険申請件数

清明節で中国市場5日まで休場

5日(金)【国内】2月景気動向指数(14:00)

安川電機が決算発表

【海外】米3月雇用統計(21:30) 、米2月消費者信用残高


(2024年3月23日)
来週の予想レンジは4万円~4万1500円
■注目された日銀金融政策決定会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)はいずれも想定線の結果となった。金融イベントの通過で「アク抜け」は読んでいたが、4万円以上の戻しは厳しいとみていた。しかし、その読みは見事に大きく外れた。

20日が春分の日の休場で手仕舞う機会を逸したこともこの急騰劇に作用したのだろう。外国人投資家に有利になる様な条件で、東京市場が休みの間にNYダウ、ナスダック総合指数共に大きく切り返し終値ベースでの史上最高値を更新。円安も進行し、休日明けの日経平均は待ったなしの買い戻しを迫られ急騰。それこそ買いが買いを呼ぶ展開でショートカバーを巻き込み22日には一時41087円まで上伸。僅か4営業日で前週末比2380円高となる急騰劇を見せた。TOPIX6日続伸し22日終値は2813.2ポイントと19891218日につけた史上最高値(2886.5ポイント)に急接近。27日は権利付最終日となるため、銀行や高配当などのバリュー株に資金が向かいやすく、来週中の新高値更新も視野に入ってきている。

市場マインドは再び強気に傾き、為替やNY株次第では一段の株買いを加速させる可能性がある。しかし、それでも高値警戒はしておく場面だろう。28日以降は配当権利落ちが反映されるほか、機関投資家によるリバランス(資産配分の調整)に日経平均の銘柄入れ替えに伴う換金売りへの警戒もある。また、あまり注目されていないが信用の評価損率が-3%台の水準は過去の高値警戒ゾーンの水準にある。相場が強いときは弱気の声はかき消されてしまうが、波乱には警戒しておくべきだろう。

日経平均は未踏の水準にきており正直、どこまで伸びるかは分からない。配当落ちまで高値水準を維持しそうで28日の配当落ち後の動きが注目されるが、引き続き5日線(22日現在40030円)から25日線(同39297円)を上回る動きは上昇基調、両線を下回ってきたら調整に転じたと見るところ。来週の日経平均は4万円~41500円のレンジを予想。

■来週の主な予定
25日(月)【国内】122日、23日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨

イシンが東証グロースにIPO

【海外】米2月新築住宅販売件数

26日(火)【国内】JSH、ハッチワーク、ソラコム、L is BがグロースにIPO

【海外】米2月耐久財受注、米3CB消費者信頼感指数

1S&PコアロジックCS住宅価格指数

27日(水)【国内】3月末権利付き最終日

コロンビア・ワークスがスタンダード、ダイブ、シンカがグロースにIPO

【海外】米MBA住宅ローン申請件数、米原油在庫

28日(木)【国内】318日、19日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」

3月末権利落ち日(日経平均の配当落ち分は約262円)

情報戦略テクノロジ―、カリウスがグロースにIPO

【海外】米10-12月期GDP確定値

米前週分新規失業保険申請件数

2月中古住宅販売仮契約

ミシガン大学消費者信頼感指数

29日(金)【国内】3月東京都区部消費者物価指数(8:30)

2月失業率・有効求人倍率(8:30)

2月鉱工業生産速報(8:50)

グリーンモンスター、マテリアルグループがグロースにIPO

【海外】米2月個人所得・個人支出 (21:30)

2月卸売在庫速報(21:30)

聖金曜日(グッドフライデー)で米国・欧州市場休場


(2024年3月16日)
日銀金融政策決定会合でアク抜けも、ただ上値は限定的か。
■今週はこれまでの上げ相場を主導してきた半導体関連株中心に売りが本格化した。日米株価のベンチマークであったエヌビディアの上昇が一服したことや円高が日本株を直撃。週初11日には一時1000円超下落する波乱の展開となった。その後も25日線を意識した一進一退の動きが続いたが、週末15日には5日線(15日現在・38765円)が25日線(同38817円)を下回るミニ・デッドクロスも示現するなど下方ムードが強まった。もっとも、押し目買い意欲も強く、ひと跳ねすれば5日線、25日線を上抜け、チャートも好転する株価位置にまだある。
実際、15日のNYダウは前日比190.8ドル安の38714.7ドルナスダック総合指数も前日比155.3ポイント安の15973.1ポイントと続落したが、米長期金利が上昇したことでNY円相場は1ドル=1490515と円安が進行。円安を好感して夜間取引の日経先物は大証比70円高の3万8660円と上昇3月末の配当落ち分(約260円)を加味すれば38920円となり5日線、25日線も回復した絵面となっている。

来週はその為替、強いては株価を左右する2大金融イベント(日銀金融政策決定会合とFOMC)を控える。1920日のFOMCでは米債券市場が想定している年3回の利下げに沿った見通しをFRBが維持するかが焦点となりそうだが、注目度は1819日に開かれる日銀の金融政策決定会合の方が高い。会合ではマイナス金利政策の解除など大規模緩和策の正常化に踏み切るとの観測が強まっている。しかし、これは既にマーケットに織り込まれたとみられ、ポイントは会合後の植田総裁の会見。市場の想定外に(金融引き締めに積極的な)タカ派的姿勢を示さなければ、為替は円安・ドル高方向に傾きやすく株安の警戒度も緩む

いずれにせよ、この2つの金融イベントが日経平均の目先の方向性を決めることになるだろう。ただ、3月末にかけては期末を控えた国内機関投資家の売りなどが重荷になるため、上値余地はまだ限られそう。年金は日本株への投資比率をあらかじめ決めており、株価が上昇してその比率を超えると機械的にリバランスの売りを出す。日経平均は23年末からまだ15%強も高い水準にあり、リバランスの売りはこなしきれていないとの見方が多い。3月いっぱいはこうしたリバランスや利益確定売りが相場の重しになるほか、翌週は月末に当たるので本格的にポジションをとる動きも限られる。
来週も神経質な展開が予想されるが、日経平均は3800039500円のレンジを予想。

■来週の主な予定
18日(月)【国内】日銀金融政策決定会合(~19日)

1月機械受注(8:50)

「会社四季報・春号」発売

【海外】中国2月小売売上高、1-2月鉱工業生産

3月NAHB住宅市場指数(23:00)

19日(火)【国内】植田日銀総裁会見

1月鉱工業生産・設備稼働率確報(13:30)

2月訪日外客数(16:15)

【海外】FOMC(20日まで)

2月住宅着工件数(21:30)

米エヌビディアが技術カンファレンス開催(22日まで)

20日(水)【国内】春分の日で東京市場休場

【海外】FOMC最終日

パウエルFRB議長会見(経済見通し発表)

米マイクロン・テクノロジーが決算発表

21日(木)【国内】2月首都圏新規マンション発売

STGが東証グロースにIPO

【海外】ユーロ圏3月製造業・非製造業PMI速報値(18:00)

10-12月期経常収支、米2月中古住宅販売件数

3月フィラデルフィア連銀景況感指数

3S&Pグローバル米国製造業PMI

22日(金)【国内】2月全国消費者物価指数CPI(8:30)

ジンジブが東証グロースにIPO


(2024年3月9日)
調整含みの展開か

■今週の日経平均は7日に4472円まで買われ史上最高値を更新した。しかし、日銀のマイナス金利解除観測が報じられことをキッカケに円相場が急伸し下げ転換。メジャーSQを控えていたこともあって裁定解消売りがスパイラル的に出てこの日の日経平均は高値から953円幅もの下げとなるショック安の展開を見せた。週末8日も反発する動きはあったものの連日で5日線(8日現在・39916円)を下回り下落シグナルが点灯。

こうした中、8日のNYダウは前日比68.6ドル安の38722.6ドル、ナスダック総合指数も前日比188.2ポイント安の16085.1ポイントと3日ぶりに反落。朝方発表の2月の米雇用統計は雇用の底堅さを示したものの金融政策を方向付けるほどの内容ではないと受け止められ取引終了にかけて売りが優勢となった。一方で、半導体関連のブロードコムとマーベル・テクノロジーの四半期決算の業績見通しが市場予想を下回ったことが重しとなった。そして、米雇用統計を受け円相場が一時1ドル=146円台半ばまで円高が進み、夜間取引の日経先物は大証終値比720円安の3万8790円と一段安に沈んでいる

日銀は、早ければ次回31819日の金融政策決定会合で20161月に導入したマイナス金利政策を撤廃するという観測がある。一方で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が直近の議会証言で利下げの可能性に言及したことで、日米の金利差縮小の見通しから為替が円高に振れてきている。さらに、NY株市場では、これまで上昇が目立っていた半導体株に利益確定売りが広がってきている。また、前回も述べたが、3月は季節的に海外勢が日本株を売り越す傾向があるほか、年金の年度末へ向けたリバランス(資産配分の調整)などで需給が悪化しやすい。こうしたことから来週は調整ムードの強い展開となりそうだ。ただ、中期的な先高観は根強い。日銀のマイナス金利政策解除はこれまで想定されてきたシナリオである程度は織り込んできている。また、押し目待ちの投資家も多いことから下げ局面では買いも入りそう。

いずれにしろ為替が目先の動向を左右しそうだが、そうした面で来週は日米の経済指標が注目される。2月の米雇用統計はFRBの結論を導き出すのは難しいとの見方だったが、米国では、12日に3CPI(消費者物価指数)、14日に同PPI(生産者物価指数)、小売売上高といった重要指標の発表がまだ控えている。国内では春闘の集中回答日を13日、第1回回答集計結果公表を15日に控えており、強い結果なら日銀による政策正常化への思惑が高まりやすい。
来週の日経平均は荒い展開が予想されるが、25日線(8日現在・38296円)~4万円とボラタイルなレンジを予想。

■来週の主な予定
11日(月)【国内】2月マネーストック、10-12月期GDP改定値(8:50)

東日本大震災から13

12日(火)【国内】2月国内企業物価指数(8:50)

春闘集中回答日 (14日頃まで)

【海外】米2月消費者物価指数CPI(21:30)

13日(水)【海外】ユーロ圏1月鉱工業生産指数

    米2月財政収支、米原油在庫

14日(木)【海外】米2月小売売上高(21:30)、米2月生産者物価指数PPI

前週分新規失業保険申請件数

15日(金)【国内】1月第3次産業活動指数(13:30)

【海外】米3月NY連銀製造業景気指数

2月鉱工業生産・設備稼働率

3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報

中国MLF(中期貸出制度)金利


(2024年3月2日)
強気を維持しつつも需給の変調に注意!
2月の2週は8日(木)、9日(金)で778円高、同3週は15日(木)、16日(金)で784円高、同4週は22日(木)に876円高、そして今週は31日(金)に744円高と最近は、週前半に下値を確認し週末に急騰するパターンが続いているが、1日の日経平均は一時前日比824円高となる39990円を付け史上初の4万円にあと10円にまで迫った。
そして、1日のNYダウは前日比90.9ドル高の39087.3ドルナスダック総合指数も同183ポイント高の16274.9ポイントと続伸NY株高を受け、夜間取引の日経先物は大証終値比190円高の40190円と4万円台にしっかりと乗せている

1日は日経平均41000円コールの出来高が増え、さらなる先高感がマーケットを覆っている。ただ、「さすがにピッチが早すぎる…」のも正直なところだ。日経平均は今年に入り既に6446円も上昇している。また、日経平均をTOPIX(東証株価指数)で割ったNT倍率は、1日時点で14.7倍と28カ月ぶりの高水準となるなど特に日経平均という指数の上げ。こうした中、来週8日(金)は、その指数に大きく影響する年最大のメジャーSQ(特別清算指数)算出日を向かえる。他にも3月は季節的に海外勢が日本株を売り越す傾向があるほか、年金の年度末へ向けたリバランス(資産配分の調整)などで需給が悪化しやすい。3月相場は外国人や機関投資家の売り買いが交錯しやすく乱高下の展開となりそうだ。

もっとも、だからといって弱気ポジションにチェンジしろと言うのではない。年初から「こうした相場はヤラレルまで買い」としてきたが実際、そうした乱暴とも言える構えが大きく功を奏する上昇相場が続いている。こうしたスタンスは今も変わらない。ババを引くまで、行けるところまで付いて行く構えだ。実際、スピード違反はその通りだが、これ以外に日本株が過熱状態にあるかと言えば、そうでもない。これだけの急騰劇を見せているにも関わらず相場の過熱感を表す25日騰落レシオは1日現在で107.1%と中立の100%近辺で治まっている。また、この上昇の背景には、堅調な企業業績や資本効率の改善期待があり日本株のバリュエーションにそう割高感はない。
来週はメジャーSQ週でもあることで大きく乱高下する展開も想定されるが、まずは4万円台に乗せ、そのまま大台をしっかりと維持できるか。レンジは3900040700円を想定。

注目イベントでは、日銀からマイナス金利の早期解除を意識した発言が相次いでいるため、今後の金融政策を占う上で67日に予定されているパウエル議長の議会証言に注目が集まる。利下げ開始時期のヒントが示されれば為替や株式の大きな変動要素となるだけに注意が必要だ。このほか、5日は米大統領選挙(11月)へ向けた予備選の集中日「スーパーチューズデー」に当たる。そして8日に米2月雇用統計の発表を控える。

■来週の主な予定
4日(月)【国内】202310-12月期法人企業統計(8:50)

日経平均4月定期入れ替え銘柄発表の可能性

5日(火)【国内】東京都区部消費者物価指数(8:30)

【海外】米1月製造業受注、米2 ISM 非製造業景況指数

米スーパーチューズデー

中国で全国人民代表大会開幕

6日(水)【海外】米1月製造業新規受注、耐久財受注

2ADP雇用統計、米地区連銀景況報告(ベージュブック)

米パウエル FRB議長が下院金融サービス委員会で証言

7日(木)【国内】2月都心オフィス空室率(11:00)

【海外】米前週比原油在庫、米1月貿易収支

1月消費者信用残高、米前週分新規失業保険申請件数

ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)

米パウエル FRB議長が上院銀行委員会で証言

8日(金)【国内】メジャーSQ

【海外】米2月雇用統計(22:30)

ユーロ圏10-12GDP確報値(19:00)


(2024年2月23日)
日経平均4万円も視野に!
■今週の日経平均は22日に、注目されていた米半導体大手エヌビディアの市場予想を上回る好決算を手掛かりに大きく上昇。22日終値は39098円と終値ベースで19891229日に付けた史上最高値38915円を342カ月ぶりに更新。ちなみに、当時とは構成銘柄が違うため単純な比較は出来ないが、19891229日に38915円(ザラ場高値は38957円)を付けた日経平均はそこから下落相場に向かい、リーマンショックにダメ押しされる格好で19年後の20081028日に7054円(ザラ場では6994円)まで、5分の1以下に売られた。そこから15年の歳月をかけてようやく戻ってきたわけだ。

こうした中、22日のNY株市場でエヌビディアは約16%の上昇。エヌビディアの大幅高を背景にハイテク株や半導体株中心に買いが広がり、22日のNYダウは前日比456.8ドル高の39069.1ドルと大幅続伸ナスダック総合指数も前日比460.7ポイント高の16041.6ポイントと4営業日ぶりに大幅反発夜間取引の日経先物も大証終値比330円高の3万9450円と一段高となっている。生成AI(人工知能)の普及に欠かせない高性能半導体の需要を映したエヌビディアの好調は製造装置や電子材料をはじめとする周辺分野の活発化を示唆し、関連の日本企業の来3月期を意識した業績相場も勢いづきそうだ。

未踏の4万円台も視野に入ってきたが、上値メドはなく、上昇に弾みがつきやすい状況だ。ただ、いかんせん上昇ピッチは速い。高値警戒感は言うまでもなく売りも出やすい。実際、年初から指数の上昇をけん引してきた東京エレクトロン8035やアドバンテスト6857の両銘柄は短期間で高騰したことへの警戒感から日経平均が急騰した22日は上場来高値を更新できていない。また、年金基金はあらかじめ定めた資産の構成比率を維持するため国内株の上昇を受けた年金のリバランス売りも想定される他、ヘッジファンドなどの短期筋による仕掛け的な動きにも注意が必要だ。
上昇モメンタムは強く上は4万円台を試す展開が予想される。しかし買い一巡後は短期的な反動安も警戒される。いずれにしろ、38日のメジャーSQまでの2週間は前人未到の日経平均4万円を意識したボラティリティの高い展開となる可能性が高い。下は38000円台前半が下値として意識されるが、来週の日経平均は38000円~4万円のレンジを予想。

■来週の主な予定
26日(月)【海外】米アマゾンがダウ新規採用、ウォルグリーン。ブーツ除外

1月新築住宅販売件数

27日(火)【国内】1月全国消費者物価指数(8:30)

2月末権利付き最終日商い

【海外】米1月耐久財受注、米12FHFA住宅価格指数

12S&PコアロジックCS住宅価格指数

28日(水)【国内】景気先行指数改定値(14:00)

光フードサービスとCocoliveがグロースにIPO

2月末権利落ち日

【海外】米10-12月期GDP改定値

10-12月個人消費推定値

2月コンファレンスボード消費者信頼感指数

29日(木)【国内】1月鉱工業生産速報

1月住宅着工件数(14:00)

【海外】中国2月製造業PMI(10:30)、同非製造業PMI

1月鉱工業生産速報、米1月個人所得・個人支出

米前週分新規失業保険申請件数

1月シカゴ購買部協会景気指数

1日(金)【国内】1月完全失業率・有効求人倍率(8:30)

【海外】米1月中古住宅販売仮契約

中国財新製造業PMI(10:45)

ユーロ圏2月製造業PMI確報(18:00)


(2024年2月18日)
エヌビディアの決算を受けてどう動くか
■先週の日経平均は16日に、終値ベースの史上最高値38915円(ザラ場では38957円)まであと50円に迫る38865円まで上昇。前週末比では1590円高と、同じ4営業日だった12週(912日・2200円高)に次ぐ上げ幅となった。
 年初からの日経平均の上昇に寄与した東京エレクトロン8035やアドバンテスト6857SCREEN7735などの半導体株が連日で上場来高値を更新し日経平均を牽引。その半導体株の動向を巡って、現地時間21日のエヌビディアの決算(昨年11月~今年1月)が目先の最大の材料として関心を集めている。エヌビディアはAI(人工知能)の情報処理に用いられる高性能チップで世界の半導体株ブームの支柱となってきたが、期待先行で買われてきている感も強く決算発表後の反応は読みにくい。もちろん、好業績が見込まれており、普及が加速する生成AIがもたらす半導体特需への期待もなお高く、半導体市況の回復期待を追い風としたハイテク株高も継続しやすい。ただ、市場の期待値はかなり上がっており、悪ければ失望売りを招く可能性が高いことは言うまでもなく、好内容でも一旦「出尽くし」となるリスクもある。日本市場の東京エレクトロンを始めとした半導体関連の株高もエヌビディアの好業績への期待が先行した面があり、決算発表前後には神経質な値動きが想定される。一つ言えることは、株価は既に高値圏にあるため悪い方への反応の方が大きく出やすいか?
 日経平均は198912月末につけた史上最高値(3891587銭)を更新するまでは収まりが付かないような動きで、一段高へのバイアスがかかりやすい。しかし、エヌビディアの決算発表を挟んで大きく乱高下する可能性も高い。今週も日経平均の予想レンジは37500円~39500円とボラタイルな展開を予想。

今週の主な予定
19日(月)【国内】12月機械受注(8:50)

【海外】ワシントン誕生日で米国市場休場

20日(火)【国内】1月首都圏新規マンション発売(14:00)

【海外】中国ローンプライムレート公表 (10:15)

米ホームデポ、ウォルマートが決算発表

21日(水)【国内】1月貿易統計(8:50) 、1月訪日外客数(16:15)

【海外】米1月30日、31日開催のFOMC議事要旨を公表

米エヌビディア、コカ・コーラが決算発表

22日(木)【国内】VRAIN Solution (ヴレイン )がグロースにIPO

【海外】米2S&Pグローバル米国製造業PMI

米前週分新規失業保険申請件数

1月中古住宅販売件数

23日(金)【国内】天皇誕生日で東京市場休場

【海外】米前週比原油在庫


(2024年2月9日)
3万6500円~3万7800円のレンジを予想

■今週の日経平均は週末にかけて急伸し、一時19902月以来、約34年ぶりに37000円の大台を回復。198912月の最高値38957円まであと2000円弱に迫った。
良好な米経済指標を受けて米国の早期利下げ観測は後退。一方、日銀の内田真一副総裁が8日、マイナス金利政策の解除後も緩和的な金融環境が続くとの見方を示した。これを受けて日米金利差拡大から為替は1ドル=150円台に迫る円安に振れている。NY株高に円安基調、それにトヨタ自動車7203に代表される好調な企業決算も相次いでいることを背景に日本株は再び上昇基調を見せており「持たざるリスク」も意識される状況となっている。

しかしその一方で、年初からの上昇幅は約3800円となり高値警戒感は言うまでもない。また、日経平均は8日に前日比743円、9日も一時423円高と大幅に上昇したが、東証プライムの騰落銘柄数では8日は値上がり584銘柄に対して値下がりは1013銘柄、9日も値上がり565銘柄に対して値下がりは1048銘柄と全体では値下がりしている銘柄が多い。要するに一部の指数銘柄が牽引した歪な上昇で、SQ週ということもあってここまでは買い戻し(売りの手じまい)の動き。一段高に向けた新たな買いが入ってくるかはこれからで、単純な値動きという点では調整が入っても何らおかしくない。

連休中のNY株や為替の動向によっても変わってくるが、まずは37000円に対してどう動くか。37000円を下値とする動きになればこれまで見られたように上げ足が加速する可能性もある。しかし、こうしたパターンは反動安も大きく出やすい点は注意が必要だ。上げに弾み付いているため上を大きめに見るが、来週は37000円を基調の分岐点に36500円~37800円のレンジを予想。

■来週の主な予定
12日(月)【国内】振替休日で東京市場休場

【海外】米1月財政収支

13日(火)【国内】1月国内企業物価指数(8:50)、1月工作機械受注(15:00)

鹿島、JTSMCが決算発表

NISAの日で日本証券業協会が証券投資や資産運用イベント開催

【海外】ユーロ圏2ZEW景況感指数(19:00)

米1月消費者物価指数CPI(22:30)

米コカ・コーラが決算発表

14日(水)【国内】ソニーグループ、日本郵政が決算発表、決算シーズン一巡

【海外】ユーロ圏11月鉱工業生産指数、同9-12GDP (19:00)

米シスコシステムズが決算発表

インドネシア大統領選投開票

15日(木)【国内】10-12月期実質GDP速報値(8:50)

12月鉱工業生産。設備稼働率(13:30)

サントリー食品、トレンドマイクロが決算発表

3ロケット2号機打ち上げ

【海外】米1月小売売上高(22:30)

2NY連銀製造業景気指数、米1月鉱工業生産・設備稼働率

2月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(22:30)

米前週分新規失業保険申請件数(22:30)

2NAHB住宅市場指数(16日、0:00)

16日(金)【国内】12月第三次産業活動指数(13:30)

横浜ゴム、ブリヂストンが決算発表

【海外】米1月住宅着工件数(22:30)

2NY連銀ビジネスリーダーズサーベイ

1月住宅着工件数、米1月生産者物価指数PPI

2月ミシガン大学消費者信頼感指数


(2024年2月3日)
上値を伺う展開か。ただ、値動きが激しくなる展開も。
■今週の日経平均は断続的な売りに押されながらも、終値では一度も36000円を下回らず36000円以下での押し目買いの強さを見せた。企業業績の改善が買い手がかりとなっているようだ。また、13031日のFOMC(米連邦公開市場委員会)もタカ派寄りの内容となったものの悲観ムードは限定的だった。ちなみに、日経平均の131日終値は36286円。1月は月間で2822円(8.4%)の上昇、上昇率は2311月(8.5%)以来2カ月ぶりの大きさとなった。ハイテク株を中心とした米国株の上昇が波及したほか、新たな少額投資非課税制度(NISA)の開始も追い風になった。

こうした中、注目された現地の2日発表の1月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を大きく上回った。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測は後退したものの、平均時給は悪天候で平均労働時間が短くなったことで押し上げられた側面があることからマーケットの見方が米国経済のソフトランディングに切り替わった他、好決算を発表したハイテクに買いが入り上昇。2日のNYダウ平均は前日比134.5ドル高の38654.4ドルと続伸ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も前日比267.3ポイント高の15628.9ポイントと大幅続伸。日米金利差の拡大で為替も1ドル=148円台の円安に振れ、夜間取引の日経先物も大証終値比280円高の36400円と大幅高

NY株高に円安も加わり、来週の日経平均は上値のフシとなっている36500円をトライする見通しが濃厚となっている。ただ、米国で銀行ショックが再燃しつつある点には注意が必要だ。破綻した米地銀シグネチャー・バンクから預金を買い取ったニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)が、貸倒引当金積み増しを迫られたほか、邦銀もあおぞら銀行8304が米不動産ローンに絡んだ引当金繰り入れや外債の損失処理により、今3月期の最終損益が赤字に転落する見通しを発表するなど、昨春にマーケットを震撼させた銀行ショックの火種が表面化してきている。また、来週はオプションSQ(特別清算指数)週ともなるため相場は不安定になりやすい。こうした局面では、値動きが激しくなることも多く注意が必要だ。
下値は今週に付けた安値の35700近辺、上値は122日の終値ベースの高値36546円が意識されるが、来週の日経平均の予想レンジは35500円~37000円と広く見ておきたい。

■来週の主な予定
5日(月)【国内】日本郵船、伊藤忠、三菱電機、三菱UFJFGが決算発表

【海外】米1月ISM非製造業景況指数

ユーロ圏12月生産者物価指数(PPI)

米キャタピラー、マクドナルドが決算発表

6日(火)【国内】12月毎月勤労統計調査、同家計調査(8:30)

トヨタ、三菱重工、任天堂が決算発表

【海外】ユーロ圏12月小売売上高(19:00)

7日(水)【国内】12月景気動向指数速報

今年最初の新規上場としてSOLIZEがスタンダードにIPO

AGC、日本製鉄、花王が決算発表

【海外】米12月貿易収支、米12月消費者信用残高

米ディズニーが決算発表

8日(木)【国内】1月景気ウォッチャー調査(14:00)

Veritas In Silico(ウェリタスインシリコ)がグロースにIPO

SUBARUNTT、ソフトバンクG、日産自動車が決算発表

【海外】米原油在庫、米前週分新規失業保険申請件数

中国1月消費者・生産者物価指数(10:30)

9日(金)【国内】1月マネーストック(8:50)

オプションSQ

ENEOS、リクルート、東京エレク、三井不動産が決算発表

【海外】米12月卸売在庫確報値


(2024年1月27日)
企業決算の本格化とFOMCで神経質な展開か

■今週の日経平均は23日に一時36984円まで買われ37000円に肉薄した。しかし、折からの高値警戒感と、同日の日銀金融政策決定会合での予想通りのマイナス金利解除見送りを一つの区切りとするようその後一転して軟化。週後半は終始売り圧力に押される展開となり、週末26日にはフシ目の36000円も割り込み調整ムードが広がった。
 
来週は日米企業の決算発表が本格化する。米国では週の前半からマイクロソフトなどハイテク大手の決算発表が相次ぎ、国内でもアドバンテストなど日本企業の1012月決算発表が本格化する。今3月期の第3四半期の開示社数のピークは29日(約430社)だが、プライム市場の場合は131日もヤマ場に当たり、半導体関連や電子部品の決算に関心が寄せられている。また、中国では経済の停滞が長引いており、中国市場への依存度が大きい銘柄の業績下ブレも警戒されている。
また、米国では3031日にFOMC(米連邦公開市場委員会)がある。底堅い経済指標を背景に早期の利下げ観測は後退しているが、FOMCでは利下げ開始時期を見極めることになる。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がQT(量的引き締め)縮小の議論に言及すれば株式市場は好材料となるが、パウエルFRB議長は行きすぎた楽観論に釘を刺すようなことも多く、タカ派的なメッセージが出れば、株価が史上最高値圏にあるだけに波乱要因となる。
 
いずれにしろ、来週は企業業績と金融政策の両面から株価の動向を判断することになる。年初からの株高は急ピッチだったこともあり結果次第で上下に振れやすく、来週は波乱含みの動きが想定される。ただ、今年の上昇相場に乗り遅れている投資家も依然多く、下回る場面では押し目買いが支えるとの見方も多い。下は
111日から12日に空けたマド(31157円~35362円)が意識され、来週の日経平均の予想レンジは3530036500円とする。

■来週の主な予定
29日(月)【国内】「政治とカネ」問題を巡り衆参両院の予算委員会で集中審議

30日(火)【国内】12月失業率・有効求人倍率

岸田首相の施政方針演説など政府4演説

ソシオネクスト、オリエンタルランド、コマツ、キヤノンが決算発表

【海外】ユーロ圏10-12月期GDP IMF世界経済見通し

米FOMC(31日まで)

11FHFA住宅価格指数

11S&PコアロジックCS住宅価格指数

キャタピラー、マイクロソフト、アルファベットが決算発表

31日(水)【国内】122日、23日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」

12月鉱工業生産(8:50)

TDKアドバンテストレーザーテック、日立、商船三井が決算発表

【海外】中国1月コンポジットPMI、同製造業・非製造業PMI(10:30)

1ADP雇用統計

パウエルFRB議長会見

韓国サムスン電子、米ボーイング、クアルコムが決算発表

1日(木)【国内】中国1Caixin製造業PMI(10:45)

ユーロ圏12月失業率

1ISM製造業景況指数

イビデン、武田薬品、ローム、三井住友FGが決算発表

【海外】米アップル、アマゾン、メタが決算発表

2日(金)【国内】1月マネタリーベース(8:50)

川崎汽船、パナソニック、村田製作所が決算発表

【海外】米1月雇用統計、米12月製造業受注

米シェブロンが決算発表


(2024年1月20日)
円安に半導体人気、日経平均は来週も堅調を維持するか。

■今週の日経平均は、短期的な急上昇に対する反動や米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測の後退、中東での地政学リスクなどが警戒され調整含みの動きが続いた。17日には1SQ3602597銭を大きく上回る36239円まで買われ一段高に向かう動きも見せたものの、その後、先物に出た断続的な売りで急反落。チャートは長い上ヒゲを伴う大陰線を引き「反落シグナル」が点った。さすがに調整やむなしと思えたが、週末19日にそうしたムードを吹き飛ばす急反発。終値ベースで15日に付けたバブル崩壊後の高値35901円を更新。再び上昇ムードとなっている。
18日発表の東証の投資部門別売買状況によれば、1912日の外国人投資家の日本株(現物・先物)の買い越し額は計14439億円と9カ月ぶりの規模と、旺盛な外国人買いが日本株を押し上げている。また、日経平均と反比例するよう設計されたETF(上場投資信託)のNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信の信用買い残も12日申し込み時点で前週比1.7倍の13622万口に急拡大している。前回も述べたが、逆張りで売買する傾向の強い個人投資家が値頃感で売っては踏まされる構図ともなっている。

NY株市場も再び強気相場入りとなっている。19日のNYダウ、ナスダック総合指数ともに大幅続伸し、NYダウは12日の史上最高値更新、ナスダック総合指数も昨年1228日の取引時間中にマークした高値15150ポイントを大きく更新し、20211122日最高値16212ポイントを目指す展開入りとなった。半導体受託製造最大手のTSMC(台湾積体電路製造)が18日に好調な業績通しを示したことに加え、米交流サイト大手のメタ・プラットフォームズが人工知能向け半導体を大量に調達すると報じられて半導体・AI関連株が急伸。アドバンスト・マイクロが7%高、エヌビディア、テキサス・インスツルメンツ、アプライド・マテリアルズが4%高、インテルが3%高と半導体関連が一斉高。さらに、機関投資家が運用指標とするS&P500指数が20221月にマークした最高値を2年ぶりに更新し、強気相場入りとの解説が出ている。また、中国に上場する日本のETFが高人気で中国では連日で売買を一時停止するなど過熱しているが、中国マネーの流入観測も相場上昇の原動力となり始めている。

急ピッチな上昇で過熱感はあるものの、円安方向に進みつつある中、半導体株人気も相まって、来週も日経平均は堅調さを維持する可能性が高まっている。来週の日経平均予想レンジは5550037000円。尚、来週は2223日に日銀の金融政策決定会合を控えるが、一時強まっていたマイナス金利解除の観測は、息切れ感の出てきた国内物価と能登半島地震により後退。植田総裁はひとまず決断を見送る可能性が高いと市場はみている。

■来週の主な予定
22日(月)【国内】日銀金融政策決定会合(23日まで

【海外】中国ローンプライムレート公表

23日(火)【国内】植田日銀総裁会見、日銀「経済・物価情勢の展望」レポート

【海外】米アカデミー賞候補作発表

米マイクロソフト、ネットフリックス決算発表

24日(水)【国内】12月貿易統計(8:50)

ニデック、ディスコが決算発表

【海外】1月ユーロ圏製造業・サービス業PMI

1S&Pグローバル製造業PMI

米テスラが決算発表

25日(木)【国内】12月首都圏新規マンション発売

【海外】ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)

米10-12月期GDP速報 (22:30)

12月耐久財受注(22:30)

米前週分新規失業保険申請件数(22:30)

米インテル、ダウ、ビザが決算発表

26日(金)【国内】1月東京都区部消費者物価 (8:30)

1218日、19日の金融政策決定会合議事要旨公表

信越化学、ファナックが決算発表

【海外】米12月個人所得・個人支出

12月中古住宅販売仮契約数


(2024年1月13日)
反動安を警戒も過度な弱気は禁物

■踏み上げ相場の凄さをまざまざと見せつけられる一週間となった。今週の日経平均は半年間抑えられていた上値ラインを抜けてきたことでトレンドに追随する劇的な上げ相場を展開。12日で5連騰となった日経平均は、先週末終値33377円から12日高値35839円まで2462円幅もの値上がり。12日精算のSQ(特別清算指数)値が3602597銭と信じられない高値で着地していることからも分かるようにSQに絡んだ手じまい(買い戻し)も大きな原動力となった。そのSQも通過し、さすがに一服感が出ておかしくない場面だ。また、目先は「幻のSQ値」となっている3602597銭が上値のメドとして強く意識されることは想像に難くなく、上と下を見れば下落の幅の方が遙かに大きく見える。市場でも、連騰後の高値警戒感から下落リスクを指摘する声が多く聞かれる。

来週は調整リスクに対する警戒が必要になるだろう。が、しかし。目先の調整を視野に入れつつも過度な弱気は禁物となる。少なくとも明確な天井シグナルが出るまでは下手に売りポジションを作ることは禁物だ
デイリーで「こうした相場はヤラレルまで買い」とトンチンカンというか、理解に苦しむだろう表現をしてきたが、こうした相場はそうした構えで臨まないと必ず振り落とされる。何よりも、千載一遇のチャンスを逃すだけでなく、多くの失敗も重ねてきた経験則からは、こうした相場では買いでの失敗より、売りで失敗したときの方が損失が大きくなることが多いからだ。実際、その通りの展開となっているが、値頃感で売買する傾向の強い個人投資家は、逆張りETF(上場投資信託)のNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信絡みの損失が大きく膨らんでいるようだ。また、値頃感で先物を売って「売っては踏まされ」の連日で証拠金を溶かすどころか追い証を迫れている個人投資家も多いと聞く。
目先では、急上昇してくる5日線(12日現在・34441円)が強弱の判断基準となるが、来週は3450036000円とボラタイルなレンジを予想。

尚、12日のNYダウは前日比118ドル安の37592.9ドルと3日ぶりに反落。決算を発表した主要企業への利益確定売りや中東情勢の緊迫化による地政学リスクが重しとなった。ナスダック総合指数は前日比2.5ポイント高の14972.7ポイントと小幅に6日続伸夜間取引の日経平均先物は大証終値比70円安の35540NY円相場は1ドル=1448595

■来週の主な予定
15日(月)【国内】12月マネーストック

東宝、古野電気、QPS研究所が決算発表

東証が株価意識した経営・取組み開示企業を公表

【海外】キング牧師生誕記念日で米市場休場

ユーロ圏11月鉱工業生産指数(19:00)

中国MLF(中期貸出制度)金利

アイオア州で最初の米大統領選挙予備選

16日(火)【国内】12月国内企業物価指数

【海外】米1月NY連銀製造業景気指数

米ゴールドマンサックスが決算発表

17日(水)【国内】日銀の生活意識に関するアンケート調査

170回芥川・直木賞発表

【海外】米12月小売売上高、米12月輸出入物価 (22:30)

12月鉱工業生産・設備稼働率(23:15)

米1月NAHB住宅市場指数、米地区連銀景況報告(ベージュブック)

18日(木)【国内】11月機械受注(8:50)

11月鉱工業生産確報(13:30)

【海外】米12月住宅着工件数、米12月新築住宅販売件数

19日(金)【国内】12月全国消費者物価指数CPI(8:30)

11月第三次産業活動指数(13:30)

東京製鉄が決算発表

皇居宮殿で歌会始の儀(お題は「和」)

【海外】米1月ミシガン大学消費者マインド指数

12月中古住宅販売件数


(2024年1月6日)
上値は重そうだが下値も固そう

2024年度相場に入った今週は、NY株が利下げへの期待感が後退し下落したことや1日に発生した石川県能登地方での地震で日本の企業活動への影響も警戒され大発会の4日に昨年末比で770円安となる32693円まで急落する場面があった。しかし、半導体やハイテク株が中心の一時的な下げですかさず切り返し、週末終値は前年末87円安の33377円と平穏な終わりとなった。
FOMC議事録(昨年121213日分)がハト派的ではなかったことで足元で後退している米早期利下げへの思惑が焦点となっているが、現地5日朝発表の12月米雇用統計では、非農業部門の雇用者数は市場予想以上に増えた。堅調な労働市場を背景に米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が高まった一方、米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測はやや後退した。もっとも、12月の米雇用統計は見かけほど強すぎない内容だったという見方から、2023年末から続いたNY株の下げにはひとまず歯止めがかかり、5日のNYダウは前日比25.7ドル高の37466.1ドルと小幅続伸ナスダック総合指数も同13.7ポイント高の14524ポイントと6営業日ぶりに反発。ちなみに、ダウ平均は週間では223ドル安と10週ぶりに下落、ナスダック指数も週間で3.24%安と10週ぶりの下落だった。

とは言え、利下げ時期に関する市場の見方は揺れており、市場では来週発表される11日の12CPI(消費者物価指数)、12日の同PPI(生産者物価指数)に注目する向きは多い。ただ、米CPI3月利下げ観測が盛り返してNY株高となれば日本株にはプラス。反対に、早期利下げへの思惑がさらに後退しても今度は円安が継続することになり日本株の支えとなる。米CPIによってNY株が大きく下振れない限りは日本株に大きな波乱はないと思われる。また、年序盤は新規資金が入りやすいと言われるが、今年は特に個人による新NISA(少額投資非課税制度)枠での買いが需給面のプラス材料となる。米12CPIや同PPIの発表を控え不安定な動きも想定されるが、上値は重そうだが下値も固そうで来週の日経平均の予想レンジは33000円~33800円。

■来週の主な予定
8日(月)【国内】成人の日で東京市場休場

【海外】米11月消費者信用残高

9日(火)【国内】12月東京都区部消費者物価指数(8:30)

【海外】ユーロ圏11月失業率

11月貿易収支

10日(水)【国内】11月毎月勤労統計調査(8:30)

【海外】米MBA住宅ローン申請指数、米10年債入札

11日(木)【国内】11月景気動向指数 (14:00)

セブン&アイ、オンワードHD、ファーストリテイリングが決算発表

情報収集衛星を搭載のH2Aロケット打ち上げ

【海外】米12月消費者物価指数(CPI) (22:30)

米前週分新規失業保険申請件数(22:30)

12月財政収支

12日(金)【国内】12月景気ウォッチャー調査 (14:00)

オプションSQ

ローソン、良品計画、安川電機が決算発表

【海外】米12月生産者物価指数(PPI)(22:30)

米ユナイテッドヘルス、JPモルガン決算発表


(2023年12月29日)
辰年は十二支で上昇率首位! しかし「辰巳天井」の格言も。


2023年相場の総括
1229日・大納会終値〉
日経平均                       3346417銭(2022年末比7369円高)

TOPIX                          2366.39ポイント(同474.6ポイント高)

・東証プライム               1217.60ポイント(同244.3ポイント高)

・東証スタンダード       1169.31ポイント(同174ポイント高)

・東証グロース               891.03ポイント(同36.7ポイント安)

2023年の日経平均終値は3346417銭。2022年末比7369円高となる大幅高で「卯(う)跳ねる」の相場格言通り、2023年の日経平均は大きく上昇した。さらに来年24年の十二支は辰(たつ)だが、十二支のなかで最も上昇率が高いというデータがある。1950年以降の日経平均の年間騰落率を十二支ごとに平均すると、辰年の上昇率は28.0%と首位。次に子(ね)年の22.5%、卯年の18.2%、亥(い)年の16.5%、酉(とり)年の15.7%と続く。辰年の上昇率は突出しており、十二支のジンクスからいけば来年の日経平均は1989年末につけた史上最高値(38915円)を上回る期待も膨らむ。

振り返ると2023年は物色面では低PBRと配当利回りの高さから川崎汽船など大手海運株と三菱商事など大手総合商社が人気を博し、2024年は新NISAがスタートし、高配当やバリュー株が好まれる流れが少なくとも年前半は継続することにもなりそうだ。しかし、2024年の主役は引き続き半導体関連か。2023年は生成AI(人工知能)、データセンター向け半導体需要の高まりと国内での半導体工場の相次ぐ新設・増設からレーザーテック、東京エレクトロン、ディスコを中心とする半導体製造装置関連の株価好パフォーマンスが際立つ展開となった。2024年末までには「TSMC熊本工場」が稼働開始予定という注目スケジュールもある。
一方、東証グロース指数は2022年末比36.7ポイント安の891.03ポイントと反落して終わった。グロース市場のメインプレイヤーである個人投資家には日経平均の高揚感はまったく感じられない側面も持つ厳しい1年となった。ただ、そのグロース市場にも年末に向けて底打ち反転の動きを見せる銘柄が増えており、新春相場からの出遅れ修正期待は高まっている。

2024年相場を占う
 「利下げに向かう欧米、利上げに向かう日本」の構図の中、米金利低下と表裏をなす「円高トレンド」が東京市場のネックとなってきそうだ。また、日本の場合、間違いなく政局も動きそうだ。11月の米大統領選を前に9月は岸田自民党総裁任期が満了となる。ポスト岸田が年前半の焦点となるが、7月の東京都知事選挙の前に何らかのアクションが生じることは間違いないだろう。政治の不安定を嫌がる海外投資家だけに相場にとっては、年前半は正念場を迎える局面も出てこよう。
一方、米国でも24年には米大統領選がある。バイデン大統領とトランプ前大統領が争う構図になるとの見方が有力だが、米大統領の任期は28年と決まっているため、どちらが当選しても残りは14年だ。バイデン大統領、トランプ氏のどちらであっても、レームダック(死に体)化は避けられない。米大統領選に向けた政策期待で24年は株価が堅調に推移しても、その後は米政権のレームダック化で株価が混迷する可能性がある。来年は日米とも、政局が株式市場を大きく左右する1年になりそうで、株価は政局の混迷で相場格言にある『辰巳天井』となる可能性もある

この他、2024年のトピックスとしては「5月、旧盆の8月、年末年始と連休が多い」、「ドジャースの大谷選手、サッカーW杯アジア予選、パリ夏季五輪でスポーツが社会的に盛り上がる」「7月の新紙幣流通開始」、「ニンテンドーミュージアム、ソニーの新コンテンツ施設、東京ディズニーシーの新不トラクション、ジブリの森の全面オープンと新レジャー施設の買い次ぐ開業」、「4月のトラック・ドライバーなどに対する労働時間の残業上限規制猶予期間終了(2024年問題)」などがスケジュール的に見えている。また、4月の法改正では障害者差別解消法改正(努力義務から義務化へ)と障害者総合支援法改正(地域生活や就労支援の強化)が施行される。ナイーブな問題をはらむためか、ここまで相場テーマ的にはノーマークでエスプール<2471>、ウェルビー<6556>CRGホールディングス<7041>、リビングプラットフォーム<7091>、リタリコ<7366>、アドバンテッジリスクマネジメント<8769>、ココルポート<9346>の関連株には業績が好調なものもあり穴株ともなりそうだ。

■新春1月相場の狙い目
 年最後のレポートで、さすがに注目株は取り上げられないが、新春相場で短期的に期待できる銘柄はある。1月に業績の上方修正を発表する可能性がある銘柄だ。企業経理の癖から業績修正の発表は過去の時期と同じ、もしくは近い確率が高い。四半期決算の発表と同時に通期の業績を修正する企業などがそれにあたる。下段には20231月に通期業績の上方修正を発表した企業とその日付を入れた。もちろん、すべてが増額するわけでなく、下方修正の可能性もある

20231月に通期業績を上方修正した主な企業(日付は2023年)
9日…ハニーズHD<2792>エコートレーディング<7427>

11日…パルグループホールディングス<2726>

12日…オンワードホールディングス<8016>ウイングアーク1st<4432>

セブン&アイHD<3382>

13日…テンダ<4198>BeeX<4270>、北川精機<6327>

19日…Sharing Innovations<4178>

26日…信越化学工業<4063>、テイツー<7610>、エムケー精工<5906>

JFEシステムズ<4832>

27日…研創<7939>、蝶理<8014>

30日…ソシオネクスト<6526>、バルカー<7995> 

これらの銘柄の中で増額発表の可能性があるのは ~以下省略~


(2023年12月23日)
市場参加者が減る年末年始は上にも下にも振れやすい

■今週の注目イベントであった日銀の金融政策決定会合(1819日)ではマイナス金利政策の解除が見送られた。懸念要因だった日銀リスクが後退し、日経平均は急反発。20日に33824円まで買われ1120日に付けたバブル崩壊後高値33853円に肉薄し、年末にかけて高値を更新する「掉尾(とうび)の一振」を期待する声が多く聞かれた。しかし、またしても上抜けの腰を折られた。現地20日のNY株はダウ、ナスダックとも共に大幅反落。NY株の上げには割り負けするが、下がったときにはしっかりと反応する、いつものなさけない展開で翌21日は天井シグナルとされる「離れ小島」の形で大幅反落。実は915日高値33634円を付けたときも「離れ小島」を形成し、その後、3000円強の下げを見ている。その前の81日高値33488円を付けたときも同様に「離れ小島」に準じる形で調整に入っている。米金利低下と表裏をなす円高が日本株の頭を押さえているのも事実だが、一方で、内需を中心に円高が収益環境の改善につながる日本企業も多い。単純に円高が影響とは言えない日本株の根本的な弱さがあるが、「掉尾の一振」期待は一旦後退。
尚、22日のNYダウは前日比18.3ドル安の37385.9ドルと小反落。ただ、週間では8週連続の上昇で192月にかけての9週連続以来の記録。多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数も1711月にかけての8週連続以来の長期連騰に並んでいる。ナスダック総合指数は前日比29.1ポイント高の14992.9ポイントと続伸夜間取引の日経先物は大証終値比220円高の33280円と上昇NY円相場は1ドル=1424050

来週は欧米などがクリスマス休暇に入る他、国内でも年末休暇に入る市場参加者が多くなるとみられ薄商いが想定される。市場参加者が減る年末年始はボラティリティーが高まるため相場は上にも下にも振れやすい。特に円相場の急な動きには注意が必要で、27日に公表される1819日開催の金融政策決定会合の「主な意見書」に関心が集まっている。今月の会合では政策変更はなかったものの、政策修正への地ならし的なコメントが確認されれば、為替が円高に振れて日経平均は32500円程度まで下落する心配がある。また、来週は27日が年内受け渡し最終日で、28日からは事実上の新年相場を迎える。このため、週前半は税金対策の損出し売りが膨らむ可能性がある。半面、新NISA(少額投資非課税制度)枠での取引も28日からスタートするため、後半にニューマネーの流入も見込まれる。来週の日経平均は32500円~33500円のレンジを予想。

■来週の主な予定
25日(月)【国内】ナルネットコミュニケーションズがグロースにIPO

【海外】クリスマスで米国市場など休場

26日(火)【国内】11月失業率・有効求人倍率(8:30)

【海外】米10FHFA住宅価格指数

10S&P ケースシラー住宅価格指数

27日(水)【国内】12月18日、19日 開催の日銀金融政策決定会合「主な意見」

yutori(ゆとり)がグロースにIPO

12月末権利付き最終売買日

【海外】米前週比MBA住宅ローン申請件数

28日(木)【国内】11月商業動態統計、同鉱工業生産(8:50)

12月末権利落ち日

【海外】前週分米新規失業保険申請件数

29日(金)【国内】東証大納会

【海外】米11月中古住宅販売仮契約

米シカゴ購買部協会景気指数PMI


(2023年12月16日)
日銀の金融政策決定会合(18~19日)後にどう動くか

■東京株式市場は今週も円高に振り回された。注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会・1213日)では政策金利の据え置きを決定。FOMCメンバーは予測以上にハト派的で焦点は利下げ時期にシフト。また、足元の経済指標も底堅く、少し前まで投資家心理を悪化させていた米景気のハードランディング不安も後退している。これを受けNY株は6日続伸でNYダウは連日で史上最高値を更新。しかし、14日には一時1ドル=140円台まで円高が進む場面もあったが、米金利低下と表裏をなす円高を受け東京市場は上値を抑えられ、NY株が連日上伸する中で日経平均は25日線に蓋をされる上値の重い展開が続いた。
また、15日のNYダウは前日比56.8ドル高の37305.1ドルと7日続伸。ダウ平均は週間で1057ドル上げ、7週連続の上昇は192月にかけての9週連続以来の記録。ナスダック総合指数も同52.3ポイント高の14813.9ポイントと7日続伸22年1月以来の高値で終えた。米連邦準備理事会(FRB)が来年に利下げに転じるとの見方が続いたほか、米景気の先行きに対する楽観的な見方も相場を押し上げた。しかし、夜間取引の日経先物は大証終値比260円安の32630円と反落NY円相場は1ドル=1421525銭。

NY株に比べ日本株の根本的な弱さを感じざるを得ないのも正直なところだが、円高が日本株の火種になっていることは確か。そうした面で、来週(1819日)の日銀金融政策決定会合が注目される。金融政策決定会合では現状の金融政策を維持するとの見方が多いものの、来年1月にマイナス金利政策を解除するとの観測もくすぶっている。株価の方向感が出てくるのは来週後半の日銀会合後と予測されるが、日銀会合を経て為替がどのように反応するかで株式市場の流れも決まりそう。日銀会合の通過後に為替が円安方向に振れた場合はNY株高への出遅れを取り戻す動きが想定される。反対に、早期のマイナス金利解除を匂わせて円高が一段と進んだ場合には、本格的な株売りが広がる心配がある。この他、自民党派閥の政治資金パーティー問題を受けて海外勢の売りが強まるリスクもあるが、こうした中、来週末から海外投資家の多くはクリスマス休暇に入るため、薄商いの中で売り仕掛けに警戒する声も聞かれる。
テクニカル的には、日経平均は75日線(15日現在・32428円)~25日線(同33124円)のレンジをどちらに抜けてくるかがポイントとなる。上値を抑えている25日線を明確に上抜けられれば上昇に弾みがつき高値トライも意識されそうだ。反対、75日線を割り込んでくると200日線(同31248円)を下値意識した一段深い調整へ進む心配が高まる。

■来週の主な予定
18日(月)【国内】日銀金融政策決定会合(19 日まで)

雨風太陽がグロースにIPO

会社四季報・新春号発売

【海外】米12NY連銀ビジネスリーダーズサーベイ(22:30)

12NAHB住宅市場指数(19 0:00)

19日(火)【国内】植田日銀総裁会見

エスネットワークスがグロースにIPO

東芝<6502>が最終売買日(20日上場廃止)

【海外】米11月住宅着工件数、米11月建設許可件数(22:30)

20日(水)【国内】11月貿易統計(8:50)11月訪日外客数(16:15)

ナイルがグロースにIPO

【海外】中国が最優遇貸出金利(ローンプライムレート)発表 (10:15)

79月期経常収支、米11月中古住宅販売件数

12CB消費者信頼感指数

21日(木)【国内】マーソがグロースにIPO

【海外】米79月期GDP確定値

22日(金)【国内】1030日、31日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨

11月全国消費者物価(8:30)

ヒューマンテクノロジーズがグロースにIPO

早稲田学習研究会がスタンダードにIPO

【海外】米11月個人消費支出PCE物価指数

11月耐久財受注、米11月新築住宅販売件数


(2023年12月9日)
引き続き為替睨みの展開
■相場には時として「落とし穴」がある。その引き金を今回は日銀の植田和男総裁が引いた。植田総裁が7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と答弁したことを受けて日銀のマイナス金利解除観測がにわかに強まった。金融委員会後の植田総裁と岸田首相の会談がこの思惑をさらに増幅させ、7日のNY市場では一時1ドル=141円台後半まで円高が進行。株式市場の一部では今回の株価の下落を「チャレンジング・ショック」とも称しているが、これまでの上昇相場の根底にあった円安銘柄を買っていたポジションが一気に逆回転。日経平均は一時前週末比1226円安となる32205円まで急落した。週末8日終値も32307円と25日線(8日現在33025円)割れから一気に75日線(同32371円)も割り込みこれまでの上昇相場に黄信号が点った。

しかし、8日のNYダウは前日比130.4ドル高の36247.8ドルと続伸20221月以来およそ111カ月ぶりの高値。ナスダック総合指数も同63.979ポイント高の14403.9ポイントと続伸し、およそ5カ月ぶりに年初来高値を更新。また、多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数も前日比18.78ポイント高の4604.37と続伸223月以来の高値となった。注目された現地8日朝発表の11月の米雇用統計は総じて強い内容だったものの、米連邦準備理事会(FRB)が一段と金融引き締めをするほどではないと受け止められた。NY円相場は1ドル=14490銭~14500と円安に振れ、夜間取引の日経平均先物も大証終値比320円高の3万2520円と反発し、円高進行と株下落不安を和らげている

ひとまずは自律反発となりそうだが、来週は米国で12日から連邦公開市場委員会(FOMC)11月消費者物価(CPI)指数、13日にパウエルFRB議長会見、11月生産者物価(PPI)指数、14日に11月小売売上高と金融イベントと主要経済指標の発表が集中する。そして再来週には日銀金融政策決定会合が18日、19日開催予定でもあり、引き続き米金利と為替動向を睨んだ神経質な展開が予想される。為替が円安・ドル高方向に振れれば再び33000円台回復の期待が高まる。反対に円高・ドル安がさらに進行すれば32000円の節目を下回る動きも想定される。ちなみに、主要企業の為替見通しを見ると「1ドル=140円がデッドライン」となっている。直近までの円売り・ドル買い規模が大きかっただけに、このデッドラインを突破されると業績下振れを懸念した売りが一段と広がり、ポジションの巻き戻しが一気に進みかねない。また、官房長官や自民党の主要議員に飛び火している「政治と金」の問題もかく乱要因となる。
6月以降の調整場面では高値から安値までの下げ幅は15003000円(平均2100円)となっている。これを参考にすれば下値メドは31700円となり、来週の予想レンジは3170033000円となる。

■来週の主な予定
11日(月)【国内】10-12月期法人企業景気予測調査

12日(火)【国内】11月国内企業物価指数

アウトルックコンサルティングがグロースにIPO

【海外】FOMC(13日まで)

米11月消費者物価指数CPI(22:30)

13日(水)【国内】12月調査日銀短観(8:50)

臨時国会会期末

【海外】パウエルFRB議長会見(経済見通し発表)

ユーロ圏10月鉱工業生産指数(19:00)

米11月生産者物価指数PPI(22:30)

14日(木)【国内】10月機械受注(8:50)10月鉱工業生産確報(13:30)

【海外】ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)

米11月小売売上高(22:30)

米前週分新規失業保険申請件数(22:30)

15日(金)【国内】10月第三次産業活動指数(13:30)

魁力屋(かいりきや)がスタンダード、S&JがグロースにIPO

【海外】中国11月工業生産・11月小売売上高(11:00)

12NY連銀製造業景気指数(22:30)

米11月鉱工業生産・設備稼働率(23:15)

12S&Pグローバル米国製造業 PMI


(2023年12月2日)
年末高に向けた足場固めか
■今週は「タカ派」に位置付けられていたFRBのウォラー理事も利下げの可能性を示唆するなどFRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締め長期化観測がさらに後退。米長期金利が一段と低下し、NYダウは堅調に上昇、夏場以降の下落幅をほぼ帳消しにした。しかし、東京株式市場では日経平均34000円の大台を前に上値が重い展開が続いている。週間ベースで前週比194円安と小幅ながら5週ぶりの下落に転じた。高金利政策緩和の裏返しとして一時1ドル=146円まで円高が進み円相場の反発傾向が上値の重荷になりつつある。また、東京証券取引所が1130日に発表した11月第4週(1120-24日)の投資部門別売買動向で、海外投資家は現物で101002万円と5週ぶりに売り越しに転じた。先物ベースでも4週ぶりの売り越し。米感謝祭の祝日により市場参加者が少なかった影響があるが、前週(25日~1日)の展開を見てもが海外投資家が復帰したとは考えにくく、今週末8日のメジャーSQを見据えて海外投資家のスタンスが注目される。

しかし、ここでのもたつきで足下の高値警戒感も薄れつつある他、押し目買い意欲も依然強い。今の相場の先導株は半導体株だが、半導体の市況底入れに続き電子部品も持ち直しの動きを見せている。半導体は日経平均の先導指標と見られることが多く、半導体関連株の上昇相場が続く間は日経平均の上昇も続くと判断される。ちなみに、11月の日経平均は月間で2628円(9%)上昇した。月間での上昇は5カ月ぶりで上げ幅は3年ぶりの大きさとなった。日経平均が直近安値の30487円を付けた10月初旬に「10月前半の突っ込み場面は、年末高に向けての押し目買いポイントになる」としたが、今年はその突っ込みパターンがより大きなパフォーマンスをもたらした。

1日のNYダウは前日比294.6ドル高の36245.5ドルと4日続伸。連日で年初来高値を更新し20221月以来の高値水準。ナスダック総合指数も同78.8ポイント高の14305ポイントと3日ぶりに反発。また、多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数も同26.83ポイント高の4594.63ポイントとおよそ4カ月ぶりに年初来高値を更新している。注目されたパウエル議長の米大学での講演は「適切であればさらなる金融引き締めをする用意がある」と市場の利下げ観測をけん制した。しかしその一方で、現在の政策金利の水準を「かなり引き締め的」と表現し、市場ではこれまでの発言よりややタカ派姿勢が薄れているとの見方が優勢となり株買いを促した。また、11月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想を下回ったこともあり、米債券市場では長期金利が一時4.2%台前半と9月上旬以来の水準まで低下。米金利低下で株式の相対的な割高感が和らぎ買われた。夜間取引の日経先物は大証終値比50円高の33470NY円相場は前日比140銭の円高・ドル安の1ドル=1467585

今は年末高に向け足場を固める動きに見える。ただ、来週は週末8日に米雇用統計の公表を控える他、国内では相場の波乱要因となりやすいメジャーSQ(株価指数先物・オプション12月物)の算出もある。このため上値追いにはまだ慎重な動きが想定される。34000円に近づく場面は利益確定売りに押されやすいと思われ、来週の日経平均予想レンジは33200円~34000円とする。

■来週の主な予定
4日(月)【国内】11月マネタリーベース(8:50)

アスマークが東証スタンダードにIPO

5日(火)【国内】11月東京都消費者物価指数(8:30)

【海外】米10月製造業新規受注、耐久財受注(0:00)

ユーロ圏10月購買担当者景気指数PMI(18:00)

ユーロ圏10月生産者物価指数PPI(19:00)

6日(水)【国内】QPS研究所が東証グロースにIPO

【海外】米11月ISM非製造業景気指数(0:00)

11ADP雇用者数(22:15)

10月貿易収支(22:30)

7日(木)【国内】10月景気一致・先行指数速報(14:00)

【海外】米原油在庫(0:30)

米前週分新規失業保険申請件数(22:30)

ユーロ圏4-9GDP確報(19:00)

中国11月貿易収支

8日(金)【国内】10月毎月勤労統計調査(8:30)

メジャーSQ算出日

7-9月実質GDP改定値 (8:50)

【海外】米10月消費者信用残高(5:00)

米11月雇用統計(22:30)


(2023年11月25日)
3万4000円台に入るか!
■今週の日経平均は20日に33853円まで買われバブル経済崩壊後の最高値を更新。その後は伸びあぐねたものの週末24日も一時33817円まで買われ上値を伺う動きを継続。米国株の上昇が背景にあるが、10月の米雇用統計や物価指標が軒並み市場予想を下回り、株式市場ではFRBが利上げ局面を終えたとの受け止めが広がっている。また、米経済の底堅さも株式相場の追い風となっている。
こうした米国のリスクオンムードで日本株にも先物を中心に外国人買いが増えている。高金利政策緩和の裏返しとして円高が進む場面もあったものの、影響は限定的にとどまっている。また、来週は9月末の配当の支払いが本格化する。今年はTOPIX(東証株価指数)採用企業ベースで7兆円規模の配当支払いが予定されている。こうした需給面での追い風も期待され34000円台への台替わりが視野に入る。

24日のNYダウは22日比117.1ドル高の35390.1ドルと続伸。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ局面が終了したとの見方が引き続き相場を支え、ダウ平均は週間で442ドル上昇。上昇は4週連続で34月以来の記録となった。一方、24日の米債券市場では長期金利が前営業日の終値4.40%より高い4.4%台後半で推移したことで、ハイテク株比率が高いナスダック総合指数22日比15ポイント安の14250.8ポイントと反落。ただ、下げはごく僅かで週間では4週連続で上昇と好調な動きを維持している。
夜間取引の日経先物も大証終値比140円高の万3740円と上昇。来週も上値を探る動きが期待されるが34000円の大台に乗せるか。日経平均の25日線(24日現在・32188円)とのカイ離率が4.46%となり、短期的な過熱感も警戒されるが、基本は年末高に進む展開が期待される。来週の日経平均の予想レンジは33200円~34200円。

■来週の主な予定
27日(月)【海外】米10月新築住宅販売件数

28日(火)【国内】11月末権利付き最終日商い

29日(水)【国内】11月末権利落ち日

【海外】米地区連銀景況報告(ベージュブック)

11月コンファレンスボード消費者信頼感指数

7-9月実質GDP改定値(22:30)

30日(木)【国内】10月鉱工業生産速報(8:50)

11月消費動向調査 (14:00)

【海外】米10月個人消費支出物価指数(22:30)

米前週分新規質疑用保険申請件数(22:30)

11月シカゴ購買部協会景気指数(23:45)

中国11月製造業購買担当者景況指数PMI(10:30)

ユーロ圏11月消費者物価指数速報(19:00)

1日(金)【国内】10月完全失業率・有効求人倍率(8:30)

【海外】米10月中古住宅販売成約指数


(2023年11月18日)
高値更新期待は膨らむが、米景気に先行き不安も。
■今週は10月の米消費者物価指数(CPI)などインフレ鈍化を示す米経済指標の発表が相次いだ。インフレ鈍化の基調が一段と鮮明になり株式市場も一段高に進んだ。注目された14日発表の米10CPIは前年比3.2%上昇と市場予想平均の同3.3%上昇を下回った。FRB(米連邦準備制度理事会)による高金利政策の打ち止め期待が高まり、この日のNYダウは前日比489.8ドル高、ナスダック総合指数も同326.6ポイント高と大幅高に買われた。これを受け15日の日経平均も壁になるかと思われた33000円のフシを一気に突き抜け今年最大の上げ幅(前日比823円高)を記録。一時33614円まで値上がりし、9月の戻り高値33634円に肉薄。その後は戻り売りに押される動きもあったが押し目買い意欲はことのほか強く、週末17日終値も33585円(前週末比1017円高)と高値圏を維持。

また、米10CPIに続き、米10PPI(生産者物価指数)も市場予想を下回り、米債券市場では長期金利が17日には一時4.37%とおよそ2カ月ぶりの低水準を付けるなど米長期金利は低下傾向にある。
17日のNYダウは前日比1ドル81セント高の34947ドル28セントと小幅に反発。今月のダウ平均は前日までに1900ドル弱上昇していたことで短期的な過熱感が意識されたもののFRBの利上げ局面が終了したとの見方が相場を支えた。ナスダック総合指数は前日比11.8ポイント高の14125.4ポイントと小幅ながら4日続伸夜間取引の日経先物は大証終値比80円安の33520と下がったものの、フシ目の33500円を値固めする動きで、バブル崩壊後の戻り高値更新をにらむポジションにつけている

バブル崩壊後の高値更新に期待は膨らむが、一方で、米国市場ではインフレ鈍化と表裏をなす景気の先行き不安も強まっている。10月の小売売上高(季節調整済み)は、前月比0.1%減と7カ月ぶりにマイナスとなり、鉱工業生産も製造業の指数が低下した。米国の利上げ打ち止め感から下値では押し目買いが優勢になりそうだが、米国の景況感が悪化すれば調整圧力が高まる。また、23日は東京市場は勤労感謝、米国市場は感謝祭で、ともに休場で立ち合い日数は変則の4日間で様子見ムードが強まることも想定される。年末高ラリーに突入する可能性は高まっているが、来週は上値期待と調整リスクの綱引きとなりそうで予想レンジは3300034000円とする。

■来週の主な予定
20日(月)【国内】10月首都圏新規マンション発売(14:00)

21日(火)【海外】米10月中古住宅販売件数(22 0:00)

1030日・111日開催のFOMC議事録

米エヌビディアが決算発表

22日(水)【国内】バリュークリエイションがグロースにIPO

【海外】米10月耐久財受注(22:30)

米前週分新規失業保険申請件数

23日(木)【国内】勤労感謝の日で東京市場休場

【海外】ミシガン大学消費者信頼感指数確報

米感謝祭で米国市場休場

24日(金)【国内】10月全国消費者物価指数CPI(8:30)

【海外】米11S&Pグローバル米国製造業PMI

ブラックフライデー


(2023年11月11日)
3万3000円台に乗せるか!?

10月の米雇用統計発表を受けた先週末3日のNY株が大幅高となったことで、CME日経先物も32735円(2日終値比855円高)と一段高に進み、週初はCMEにサヤ寄せする格好で大幅高。ショートカバーを巻き込んで一時32766円まで買われた。75日線に一目均衡表「雲」も抜け、チャートは104日安値30487円、同30日の30538円をダブル底とする反転態勢を形成。4日間で2000円超の上昇となっていたことから、その後は戻り売りに押される動きとなったものの短中期の重要指標となる75日線がサポートする底堅い動きが続いた。さらに、10日のNY株は前日の金利上昇を背景にした株売りが落ち着き、NYダウは前日比391ドル高の34283ドル、ナスダック総合指数も同276.6ポイント高の13798.1ポイントと共に大幅反発夜間取引の日経平均先物も大証終値比300円高の3万2880円と3万3000円に王手をかけている。

今年の大きなフシとなっている33000円乗せも期待出来る状況となっているが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)が9日の講演で、市場に広がっていた楽観をけん制する発言をしているようにまだ予断は許さない。そうした面で、来週は14日発表の10月の米消費者物価指数(CPI)と15日の小売売上高が焦点となる。市場では、10CPI上昇率は、前年同月比で3.3%(前月は3.7%)に減速すると予想されている。想定線やそれを下回る結果となれば追加利上げへの警戒感は改めて後退し株高要因となる。しかし、CPIや小売売上高が景気やインフレ圧力の根強さを示す結果となれば、米長期金利が再び上昇に転じ株価にはマイナス。両指標の内容を見るまでは引き続き米金利動向に神経質な値動きが見込まれる。
また、東京市場は企業決算が一巡して手掛かり難となるほか、日経平均33000円前後は戻りの関門になっており、強弱感が対立しやすい。来週も米金利動向をにらみながら荒い値動きが予想されるが、日経平均の予想レンジは3200033500円と引き続きボラタイルな予想となる。

■来週の主な予定
13日(月)【国内】10月国内企業物価指数(8:50)

鹿島、メルカリ、日本郵政、みずほFGが決算発表

14日(火)【国内】東芝、三菱UFJ、三井住友FGが決算発表、決算発表一巡

【海外】ユーロ圏7-9GDP(19:00)

米10月消費者物価指数CPI(22:30)

APEC首脳会議(サンフランシスコ、17日まで)

15日(水)【国内】7-9月実質GDP速報(8:50)

MSCI日本指数半期リバランス発表

(アシックス7936、ロート製薬4527が新規組み入れ有力候補)

【海外】中国10月小売売上高、中国10月鉱工業生産速報(11:00)

米10月小売売上高(22:30)

10月生産者物価指数PPI、米11NY連銀製造業景指数

16日(木)【国内】9月機械受注、10月貿易統計(8:50)

【海外】米原油在庫(0:30)

米フィラデルフィア連銀景況指数

米前週分新規失業保険申請件数

10月鉱工業生産指数・設備稼働率

米ウォルマートが決算発表

17日(金)【国内】東京海上HDSOMPOMS&ADが決算発表

FTSE日本指数四半期リバランス発表見込み

【海外】米10月住宅着工件数(22:30)

米つなぎ予算の失効期限


(2023年11月3日)
金融引き締めの警戒感は一旦後退、来週は業績相場の展開か
■今週の日経平均は日銀が金利操作の再修正をするとの観測で週初は売りが先行。31日に104日安値30487円に肉薄する3552円まで下げ、底割れも心配された。しかし、同日後場に日銀金融政策決定会合の内容が公表されると相場は一変。日銀は長期金利について1%を超える上昇を容認する方針を打ち出したが、短期のマイナス金利政策は維持したことで、大きな政策変化はないと過度な警戒感が和らぎ買い戻しが進んだ。さらに、FOMC(米連邦公開市場委員会)も前回に続き利上げ見送りが決まったほか、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言も過度にタカ派寄りではなかったことで金融引き締めに対する警戒感が後退し買い戻しがさらに加速。大きな2つの中銀イベントを無難に通過したことで、今週の日経平均は後半にかけて騰勢を強め、31日安値(30552円)から112日高値32087円まで、3日間で1500円強も上昇する急反発となった。

さらに、現地朝発表の202379月期の米労働生産性指数(速報値)が賃金インフレの鈍化を示したことで米長期金利が一段と低下し2日のNYダウは前日比564ドル高の33839ドルと大幅に4日続伸ナスダック総合指数も同232.7ポイント高の13294.1ポイントと大幅に5日続伸。夜間取引の日経平均先物も大証終値比450円高の3万2330円次の重要ポイントとなる75日線(2日現在32156円)を大きく回復している
日米の金融政策がマーケットが警戒していた内容であったなら、まるっきり正反対の動きとなった可能性もあるが、金融引き締めへの警戒感は一旦後退。ただし、金融引き締めをめぐる不安が完全に沈静化したとはまだ言い切れない。米経済指標が一段と強い内容を示せば再び追加利上げを想定する声が増えるだろうが、その意味で日本時間3日夜に発表される米10月雇用統計が注目される。

来週は、金利動向に左右される動きは一服する見通しだが、決算発表がピークを迎え業績相場の色合いが強くなりそうだ。決算は企業ごとに明暗を分けているが、業績改善が見込める銘柄には素直に買いが入ってきている。特に注目されたのがトヨタ自動車7203の決算。今3月期の連結営業利益の見通しを3兆円から4.5兆円に大きく引き上げたことでトヨタの株価のみならず全体相場の上昇も後押しした。また、株価調整済みの銘柄が事前予想ほど決算は悪くないことで上伸する動きも目立ち、弱気に構えていた投資家が慌てて買い戻しに動いているようだ。東証プライムでは10日のピークへ向けて毎営業日まとまった数の業績開示が控える。
夜間取引では75日線を回復しているが現物市場でも回復出来るか75日線を上にするか下にするかは短・中期の相場を読む指針となるため需要だ。そして下はフシ目の32000円、25日線(同31450円)がサポートするか。来週も荒い値動きとなる可能性があるが、日経平均の予想レンジは3150032500円とする。

■来週の主な予定
6日(月)【国内】9月2122日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨

三菱重工、日本郵船、伊藤忠など決算発表

7日(火)【国内】9月毎月勤労統計調査、9月家計調査(8:30)

任天堂、NTTなど決算発表

【海外】中国10月貿易収支

9月貿易収支、米9月消費者信用残高(8日、5:00)

8日(水)【国内】9月景気動向指数(14:00)

DAIWA CYCLEがグロースにIPO

東レ、富士フイルム、三井不動産など決算発表

【海外】米10年国債入札

米アーム、ウォルト・ディズニーが決算発表

9日(木)【国内】103031日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」

10月景気ウォッチャー調査(14:00)

ソニーグループ、ホンダ、ソフトバンクグループが決算発表

【海外】中国10月消費者・生産者物価指数(10:30)

米前週分新規失業保険申請件数(22:30)

30年国債入札

10日(金)【国内】10月マネーストック(8:50)

オプションSQ

三越伊勢丹、ブリヂストン、東京エレクトロンなど決算発表

【海外】米11月ミシガン大学消費者マインド指数速報(11日、0:00)

10月財政収支(11日、4:00)


(2023年10月28日)
不意の急落にも備えた構えで
■今週は米長期金利が再びフシ目の5%に迫り、株式市場でリスクオフの動きが先行した。米79月実質GDP(国内総生産)速報値など長い利上げ局面にもかかわらず米経済の堅調が浮き彫りとなり、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの長期化が懸念された。NY市場ではS&P500指数が5月以来の安値を付け、NYダウ、ナスダック総合指数も大きく下げた。日経平均も24日に一時30551円まで値下がりし104日安値3487円に接近した。(27日終値は前週比267円安の30991円)。

来週は30─31日の日銀の金融政策決定会合、31─111日のFOMC(連邦公開市場委員会)が最大の材料になる。FRBの利上げ見送りはコンセンサスとなりつつあり、日銀も現状のYCC(=イールドカーブコントロール)を維持する公算が大きく、現状は無風通過の見方が優勢。しかし、FOMC前の31日に79月の雇用コスト指数と重要な発表が控えマーケットは神経質になりやすい。また、国内では10年金利が高水準で推移しており、市場では「来週の会合で日銀が政策を修正する可能性がある」との声も聞かれる。新たにタカ派観測が強まった場合は売りが先行する動きも予想され油断は禁物だ。
何よりも心配なのは、中東発の地政学リスクの高まりが株式市場の波乱要因となってきている点だ。27日のNYダウはイスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの地上作戦を「拡大する」と伝わるとリスク回避の売りが出て急落。前日比366ドル安の32417ドルと大幅に3日続落し、3月以来の安値で終えている。ナスダック総合指数は前日の大幅安の反動から同47.4ポイント高の12643.0ポイントと3日ぶりに反発したものの夜間取引の日経平均先物は大証終値比440円安の30600と大きく押し返され、再び下値模索の動きとなっている。米軍は26日、シリア東部でイラン関連施設を空爆したが、紛争が中東全体へ拡大するようなことになれば世界的に株安懸念は強まる。

来週も日米の金融政策決定会合の結果次第で上にも下にも振れやすく、月末・月初のポジション調整も思いがけない波乱要因となる可能性がある。これに中東情勢の懸念が加わる。今のところ、好調が予想される企業決算が株価を下支えしているが、戻してもすぐに売られ度々、下値を試す動きとなっている現状の動きは正直、良くない。市場では104日安値の位置する30500円前後での下値の堅さを指摘する声が多いが、こうした動きはひょんなキッカケで抵抗の糸が切れたように下落することも多く、一気に3万円のフシ目を割り込む下げにつながる心配もある動きだ。取り敢えず、来週の予想レンジは200日線(27日現在・30312円)の30300円~31500円とするが、ここから12週間は不意の急落にも備えた構えで臨みたい。

■来週の主な予定
30日(月)【国内】日銀金融政策決定会合(31日まで)

NEC、パナソニック、オリエンタルランドが決算発表

【海外】米マクドナルドが決算発表

31日(火)【国内】植田日銀総裁会見、日銀「経済・物価情勢の展望」

9月失業率・有効求人倍率、9月商業動態統計

9月鉱工業生産、10月消費動向調査

デンソー、ソシオネクスト、アドバンテスト、ファナック、

村田製作所、JR東、日本航空、レーザーテックが決算発表

【海外】中国10月コンポジットPMI、同製造業・非製造業PMI

ユーロ圏7-9月期 GDP

FOMC(11/1まで)

8FHFA住宅価格指数、10CB消費者信頼感指数

8S&PコアロジックCS住宅価格指数

米キャタピラー、ファイザー、アドバンスト・マイクロが決算発表

1日(水)【国内】トヨタTDK、ヤマハが決算発表

【海外】米コカ・コーラ、クアルコムが決算発表

2日(木)【国内】川崎汽船、SUBARUが決算発表

【海外】米モデルナ、アップルが決算発表

3日(金)【国内】文化の日で東京市場休場

【海外】米10月雇用統計


(2023年10月21日)
引き続き外部環境にらみ、まずは3万1000円がサポートするか。
■今週の日経平均は17日の32260円をピークに下値を切り下げ、週末20日には31093円の安値を形成。週足ベースも前週末比1056円安の31259円と大幅安に沈み、戻り一巡から再び下値を探る展開となっている。
言うもでもなく、米金利の上昇と中東情勢が重しとなっている。今週は米長期金利が急ピッチで水準を切り上げ、19日夕には16年ぶりに5%台を付ける場面があった。20日は上昇が一服したものの米景気の底堅さやインフレ圧力の根強さを背景に米連邦準備理事会(FRB)が高水準の政策金利を長く維持するとの見方が強い。また、パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスとイスラエルの軍事衝突が激しさを増しているが、「衝突が解決に近づかない限り、株安に対する不安感はくすぶる」との声も日増しに高まっている。一方で、目先に控える企業決算への期待はある。しかし、米長期金利の上昇と中東情勢の緊張による不安の方が大きく下落を打ち消すには至っていない。ちなみに、東証プライム銘柄(3月決算)の中間決算は来週に100社前後が控え、開示集中日は1031日(約180社)と1110日(約200社)だ。

こうした中、20日のNYダウは前日比286ドル89セント安の33127ドル28セントと3日連続の大幅安ナスダック総合指数も同202.3ポイント安の12983.8ポイントと大幅に4日続落し、およそ5カ月ぶり安値で終えている。米長期金利の上昇は一服したものの、中東の地政学リスクの高まりが引き続き相場の重荷となった。夜間取引の日経先物も大証終値比220円安の31000円と一段安
来週も外部環境にらみの神経質な展開が想定される。取り敢えずは米金利の動向や中東情勢をにらみながら31000円の攻防が予想されるが、割り込んでくると104日安値30487円や上昇してきている200日線(20日現在・30185円)を意識した2番底形成の動きが想定される。来週の日経平均のレンジは30500円~32000円とボラタイルな予想となる。

■来週の主な予定
23日(月)【国内】売れるネット広告社がグロースにIPO

ニデックが決算発表

24日(火)【国内】ジャパンM&AソリューションがグロースにIPO

【海外】米10S&Pグローバル米国製造業PMI

米ダウ、アルファベット、マイクロソフトが決算発表

25日(水)【国内】KOKUSAI ELECTRICがプライムにIPO

全保連がスタンダードにIPO

【海外】米9月新築住宅販売件数

米ボーイング、メタ・プラットフォームズIBMが決算発表

26日(木)【国内】9月企業向けサービス価格指数(8:50)

笑美面がグロースにIPO

富士通、キヤノン、武田薬品が決算発表

【海外】ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)EU首脳会議(27日迄)

米7-9月期GDP速報値、米9月耐久財受注

9月中古住宅販売仮契約

米キャタピラー、アマゾン、インテル、メルクが決算発表

27日(金)【国内】10月東京都区部消費者物価(8:30)

ドリーム・アーツがグロースにIPO

信越化学、コマツ、日立が決算発表

【海外】米9月個人所得・個人支出

米シェブロンが決算発表


(2023年10月14日)
9月期決算発表を控え、様子見ムードの展開か
■今週の日経平均は前週の急落相場から一転、急速に値を戻す展開となった。5%の大台も意識されていた米10年債利回りがFRB関係者らによるハト派寄りの発言を背景に一時4.5%台まで低下。米長期金利の低下を好感し買い戻された。上げ幅は一時1500円強に達し、直近の915日高値33634円から104日安値30487円までの下げ幅の半値戻しを達成したほか、25日線(13日現在・32266円)に75日線(同32430円)も一時回復。「10月前半の突っ込み場面は、年末高に向けての押し目買いポイントになる」としたとおりの展開を見せている。

通常なら強気に転じる場面だ。しかし、12日発表の9月米消費者物価指数(CPI)を受け、足元で後退していた追加利上げへの警戒感が再び台頭している。また、中東情勢もやはり気掛かりだ。イスラエルとイスラム組織ハマスとの地上戦への突入も秒読み段階とされる。中東情勢が悪化して原油価格が過度に上振れるようなら、このところの株高の反動安が強まるリスクもある。
こうした中、13日のNYダウは前日比39ドル高の33670ドルと小幅に反発。朝方発表の四半期決算が好感された金融株を中心に買いが入り、NYダウは一時320ドルあまり上昇する場面があったが中東情勢の緊迫化が重荷となり上げ幅を縮めた。一方、ナスダック総合指数は同166.9ポイント安の13407.2ポイントと続落夜間取引の日経平均先物も大証終値比70円安の3188032000円のフシを割り込み、反転相場は一巡感が高まっている

市場には「半値戻しは全値戻し」という相場格言があるが、このカギを握るのがこれから本格化する49月期決算発表だ。この決算発表本格化を前に、来週は様子見ムードが強まりやすい。下は31500円、上は75日線の32500円付近が意識され、来週の予想レンジは3150032500円となる。取り敢えずはこのレンジで一進一退の動きが予想されるが、中東情勢のドロ沼化により原油価格高騰などによる世界景気不安が高まれば、急ピッチな巻き戻しの反動で、再び31000円を割り込み2番底形成の動きに向かう心配もある。

■来週の主な予定
16日(月)【海外】中国MLF(中期貸出制度)金利

10NY連銀製造業景気指数

17日(火)【国内】ケイファーマがグロースにIPO

【海外】米9月小売売上高(21:30)

9月鉱工業生産・設備稼働率

10NAHB住宅市場指数

米ゴールドマン・サックス、ジョンソン・エンド・ジョンソンが決算発表

18日(水)【国内】9月首都圏新規マンション発売(13:00)

9月訪日外客数(16:15)

【海外】中国7-9月期GDP、同9月工業生産、9月小売売上高(11:00)

9月住宅着工件数

ベージュブック (米地区連銀経済報告、19 3:00)

米プロクターアンドギャンブル、テスラ、ネットフリックスが決算発表

19日(木)【国内】9月貿易統計(8:50)

【海外】米10月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数

9月中古住宅販売件数

台湾TSMCが決算発表

20日(金)【国内】9月消費者物価指数(8:30)

臨時国会招集予定

東証プライムからスタンダードに177銘柄が移行

【海外】中国ローンプライムレート(10:15)

米アメリカンエキスプレスが決算発表


(2023年10月7日)
米9月雇用統計は株価反発で通過、戻りを試す展開が予想される。
■前回、月足で「黒三兵(三羽ガラス)」と呼ばれる「売りサイン」が出ており4月からの上昇相場が終わる可能性もあるとしたが、そうした杞憂が当たる結果となってしまった。今週の日経平均は4日に一時前週末比1370円安となる30487円まで急落。直近の915日高値33634円からは3150円弱(約9%)の下げで、31000円のフシを大きく割り込み4月からの上昇相場に黄信号が点っている。一般の解説では、米長期金利が一時4.9%に迫り、米長期金利の高止まりを背景にリスクオフに見舞われたとなっているが、本当の要因は東京市場の需給が崩壊したことが大きいだろう。東証が3日発表した929日申し込み時点の信用取引の買い残高は38722億円と20078月以来約16年ぶりの高水準になっていた。そうした株高に慣れきった需給が一気に崩壊し、オプション絡みのヘッジ売りや追証発生による見切り売りなどがスパイラル的に発生し、ここまで下げを大きくさせたのだろう。

ただ前回、前半は2日新甫」の格言通り乱高下が予想されるが、10月前半の突っ込み場面は、年末高に向けての押し目買いポイントになるともした。実際、過去10年の2日新甫の月初と月末終値を比較した勝敗は151敗と高く、中旬からは増額期待の高い9月中間決算の発表が始まるほか、「選挙は買い」の解散思惑もある。

問題は目先の底を付けたかどうかだが・・・。6日のNYダウは前日比288ドル高の33407ドルと反発。暴落後の相場を左右するとみられていた米9月雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比336000人増と市場予想(17万人増)を大幅に上回る伸びとなった。7月、8月分も上方修正され、金融引き締めが長期化するとの見方から米長期金利は一時4.88%16年ぶりの高水準に並んだ。これを受けNYダウは一時270ドル強下げた。しかし、米連邦準備理事会(FRB)が重要視する平均時給の伸び率は0.2%(市場予想0.3%)と沈静化を見せ、米長期金利は一時4.7%台半ばまで上げ幅を縮めた。これを受けNYダウは上昇に転じ、一時440ドル近く上げる場面があった。1日の値幅は710ドルと322日以来となる乱高下となったが結局は大幅反発で着地。ナスダック総合指数も前日比211.5ポイント高の13431.3ポイントと大幅に反発
夜間取引の日経先物も大証終値比310円高の31330と一段高となっており、取り敢えず4日の30487円を底とする格好で戻りを試す展開が予想される状況にある。ただ、来週は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、9月消費者物価指数(CPI)などの公表が予定されている。これらを受けた金利動向を見極めながら方向感を探る展開が継続しそうだが、下はフシ目の31000円がサポートするか。上は102日~3日に空けたマド(31759円~31607円)を埋めるかがポイントとなる。

■来週の主な予定
9日(月)【国内】スポーツの日で東京市場休場

10日(火)【国内】9月景気ウォッチャー調査(14:00)

【海外】世銀・IMF年次総会(15日まで)

11日(水)【海外】米9月生産者物価

米9月19日、20日開催FOMC議事録(12 日3:00)

12日(木)【国内】9月国内企業物価指数、8月機械受注(8:50)

【海外】米9月消費者物価指数CPI(21:30)

9月財政収支(133:00)

G20 財務大臣・中央銀行総裁会議(13 日まで、モロッコ)

13日(金)【国内】オプションSQ

成友興業が名証メインに新規上場

【海外】中国9月消費者物価、同9月生産者物価(10:30)

9月輸出入物価

10月ミシガン大学消費者マインド指数(23:00)

台湾TSMC、米JPモルガンが決算発表